大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(テ)22 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

論旨第一点について。

原判決は、本件農地買収当時において右農地を賃借していた者は訴外亡Dではな

く、その父被上告人Bであつたこと、右土地における農業経営はBがその世帯員で

あるD等を統卒して農耕に従事させる方法により営まれていたものであること(す

なわち、農業経営の主体はDではなくBであつたこと)等から、買収処分当時右土

地につき耕作の業務を営む者として売渡の相手方たり得べき者はDではなくBであ

つたと判断したものであつて、所論のように、Bが世帯主であるが故にDに優先し

て被売渡適格が認めらるべきであるとしたものでないことは明らかである。所論違

憲の主張は、前提を欠くものであつて、採用し得ない。

論旨第二点第三点について。

原判決は、所論のように、Dが本件買収農地の買受申出につきBの諒解を得てい

なかつたが故にDに対する売渡処分を無効と解すべきである、としたものではなく、

次の趣旨を判示したものである。すなわち、原審は、DとBとが親子の間柄である

等の事情から、普通ならばDの買受申出につきBに一言諒解を求めることが通常で

あるのにこれをしなかつたのは、Dを耕作の業務を営む者として同人あてに売渡計

画を定めることが本来無理であり、もしDの買受申出の事実がBに知れるにおいて

はDへの売渡が頓挫することのあるべきことをおそれたためであつて、このため農

地委員長兼書記であつた訴外EとDとが意思の連絡の下に、Dの買受申出及びこれ

に対する売渡の事実を終始Bに内密にしたままで、Bに対しては同人に売渡をした

ように偽装しながら実はDあてに売渡を実施したものであることを認定した上、こ

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の事実と農地委員会における売渡計画樹立の手続が極めて粗漏なものであつたこと

とを総合して、Dに対する本件売渡処分は無効である、としたものである。所論違

憲の主張は、原判示に添わない事実を前提とするものであつて、採り得ない。

論旨第四点について。

Dに対する売渡の経緯は前述のとおりであつて、所論のように、Dに対する売渡

は、単純に同人がBよりもいつそう営農適性があるとの見地のみからなされたもの

ではない。また、原判決が、Bが世帯主であるが故に世帯員であるDに優先して被

売渡適格が認めらるべきであるとしたものでないことも前述のとおりである。所論

違憲の主張は、すべて前提を欠くものとして、採用し得ない。

よつて、民訴四〇九条ノ二第二項、四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全

員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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